こんばんは。オヤジです。
ソウルの世界遺産を巡る旅、第2弾として、朝鮮王朝の皇室が祖先を祀った宗廟を訪れました。
今回の記事では、韓国の歴史と文化を理解する上で欠かせないこの重要なスポットについて、アクセス方法から見どころまで詳しくご紹介します。
宗廟(チョンミョ)について
宗廟は韓国・ソウルにある重要な文化遺産で、儒教の思想に基づいて1392年に創建されたました。宗廟は、朝鮮王朝の霊廟で王と王妃、功臣の位牌が安置されています。
優れた建築様式と保存状態の良さから、1995年にはユネスコ世界遺産にも指定されました。
また、毎年5月にはユネスコ人類無形文化遺産に登録されている王室の祭礼儀式「宗廟大祭(チョンミョテジェ)」が盛大に開催され、韓国国内外から多くの観光客が訪れます。
宗廟は、韓国の伝統建築様式と儒教の価値観が色濃く反映された場所であり、韓国の文化と歴史を理解する上で欠かせない場所です。
宗廟のロケーションとインフォメーション
宗廟はソウル市の中心部、鐘路区に位置しています。
具体的には、地下鉄1号線の鐘路3街(チョンノサムガ)駅11番出口から徒歩約5分の場所にあります。
このエリアはソウルの観光名所が集中しており、近くには昌徳宮や仁寺洞などもあるため、観光ルートに組み込みやすいのが魅力です。
周囲の喧騒とは対照的に、宗廟の敷地内は静寂に包まれており、訪れる人々に心の平穏をもたらします。
住所 | 157 Jong-ro, Jongno District, Seoul, 韓国 |
電話番号 | +8227650195 |
WEBサイト | https://royal.khs.go.kr/JPN/contents/J105010000.do |
営業時間 | <毎週土曜日-自由観覧> 2-5月、9-10月= 9:00-18:00 6-8月=9:00-18:30 11-1月=9:00-17:30 ※入場券は観覧終了1時間前まで販売 <月水木金日-ガイド付き観覧> 日本語:9:00/9:40/10:40/11:40/12:40/13:40/14:40/15:40/ (3-9月のみ)16:40 英語:10:00/12:00/14:00/16:00 ※毎週土曜日を除き、解説者のガイド付き観覧のみ可 |
定休日 | 火曜日 |
入場料 | 大人(19〜64歳):1,000ウォン 子供(7〜18歳):500ウォン *6歳以下、65歳以上は無料(要身分証明書) |
見学所要時間 | 1時間〜1時間30分 |
自由に見学できるのは土曜日のみで、他の日はガイドツアーに参加する必要があります。
見どころ
蒼葉門(チャンヨッムン)
チケット売場の横にある門が「宗廟」の正門である「蒼葉門(チャンヨンムン)」です。
この門は、他の古宮の正門と比べて、韓国伝統の丹青や装飾が控えめなデザインが特徴です。間口は3間で「平三門」として設計され、正門の両側は宗廟を囲む石塀に接続しています。
神路(シンロ)、御路(オロ)、世子路(セジャロ)
蒼葉門をくぐると「神路」「御路」「世子路」の三道が広がります。中央の「神路」は神のための道で、右の「御路」は王が、左の「世子路」は皇太子が通る道です。
これら三道は正殿の神門へ続き、祭祀の際に使用されます。王と皇太子が通る御路と世子路は、祭祀の準備を行う御楽室へと繋がっています。
観光客は神路、御路、世子路を避け、その両脇を歩きます。
中池塘(チュンジダン)
池中池塘(チュンジダン)は、1443年に造られた四角形の池で、中央に丸い島があります。周囲の四角い囲みは「大地」を、中央の島は「空」を意味し、両者が調和することで平穏な世になるように、との願いを込めて造られたそうです。
多くの宮殿の池には松が植えられていますが、ここではイブキが植えられています。また、蓮や花の咲く木がないのは、祭礼空間としての性質を示しています。
望廟楼(マンミョル)
望廟楼は、祭祀時に王が休息する場所で、その名は「宗廟の正殿を眺め、先代の王の業績と国を思い起こす」という意味があります。
建物の特徴として、西側の一間が高床の板の間となっており、宗廟の建物の中で唯一華やかな装飾が施された「八作屋根*」を持つ建築です。
*八作屋根=軒の四隅が上に持ち上がっている韓国式の屋根
恭愍王神堂(コンミンワンシンダン)
恭愍王神堂は、高麗王朝第31代王である恭愍王を祀るために宗廟創建時に建立されました。
正式名称は「高麗恭愍王影幀奉安之堂」であり、朝鮮王朝の位牌を祀る場所に高麗の王を祀るのは不思議ですが、その理由は定かではないそうです。
内部には恭愍王とその妃の影像および駿馬図が奉安されています。
御楽室(オスッシル)
宗廟の正殿東南側に位置する御楽室は、王が祭礼前に斎戒沐浴し、世子と共に祭祀の準備を行う場所で、斎宮や御斎室とも呼ばれます。
王や祭官は、祭祀の7日前から厳格な規律を守り、3日前からは毎日沐浴しました。祭祀前日には御楽室に入り、斎戒沐浴を行い、祭礼服に着替えてから正殿で祭礼を執り行いました。
御楽室の区域内には、御斎室、世子斎室、御沐浴聴が配置されており、正殿の拡大に伴い東へ移設されてきました。
典祀庁(チョンサチョン)と祭井(チェジョン)
典祀庁(チョンサチョン)は、宗廟祭礼の際に使用する器具や食べ物を保管し準備する場所で、「□」型に配置された建物と、供え物を準備した石臼の跡が庭に残っています。
祭井(チェジョン)は祭礼用の水を汲む井戸で、花崗岩の丸い枠と整備された周囲に囲いが設けられ、一般人の接近が制限されていました。
井戸の南側には四柱門が建てられ、水は西側に排水されました。井戸は約4メートルの深さがあり、干ばつでも涸れることなく、冷たい水を供給していたそうです。
正殿(チョンジョン)
宗廟の中心の建物である正殿は、単一木造建築物として世界最長の101メートルを誇り、19人の王とその王妃、計49位の位牌が祀られています。位牌が安置されるたびに増築が行われ、その結果として現在の規模になったそうです。
位牌が安置された各部屋の扉「板門(パンムン)」は、祭礼儀式の時以外は堅く閉じられていますが、魂の自由な出入りと湿度調整のために隙間がある造りになっているそうです。
残念ながら正殿は2024年秋ころまで補修工事中です。
永寧殿(ヨンニョンジョン)
1421年に建てられた宗廟の別廟である永寧殿は、第2代王・定宗の位牌を祀るために設立されました。中央4室には、太祖の4代祖とその王妃の位牌が安置され、その他にも没後に位を贈られた王や、正殿から移された王と王妃の計34位の位牌が祀られています。
規模は正殿よりやや小さいものの、建築様式は正殿と同様で、控えめな丹青や装飾により、厳粛な雰囲気が漂う場所となっています。
私が訪れた時はイベントが実施されており、参加者以外は永寧殿に入ることはできませんでした。
まとめ
宗廟は、韓国の歴史と文化を深く理解するための貴重な場所です。
今回の訪問では一番の見どころである正殿と永寧殿を見ることができませんでしたが、荘厳な建築物の数々に魅了され、朝鮮王朝時代の精神性を理解することができました。
ソウルを訪れる際には、ぜひ宗廟を訪れ、その静寂と歴史の重みを感じてみてください。宗廟は、単なる観光地を超えた、韓国文化の核心に触れることができる場所と言えます。
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