ソウル五大王宮巡り:歴史から見どころまで解説します。

五大王宮 韓国
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こんばんは。オヤジです。

2024年4月のソウル 世界遺産を巡る旅で最後に訪れたのが昌徳宮です。ソウルには昌徳宮を含め五大王宮と称される王宮が5つあります。昌徳宮だけではもったいないので、すべての王宮を訪問しました。

今回の記事では、昌慶宮、昌徳宮、景福宮、慶熙宮、徳寿宮の5大王宮を巡る旅にご案内します。

ソウルの五大王宮について

韓国の首都ソウルには、豊かな歴史と文化を象徴する5つの王宮があります。これらの王宮は、朝鮮王朝時代に建てられ、何世紀にもわたって王族の住居や政府の中枢として機能しました。

ひとつの市にこれだけの数の王宮があるのは驚きですが、正宮として使っている王宮が使えなくなった場合に備えて別の王宮が造られたのがその理由だそうです。

現代のソウルにおいても、これらの王宮は韓国の歴史と伝統を体感できる重要な観光スポットとなっています。

王宮の鑑賞ポイント

王宮見学の際に役立つ各王宮に共通する特徴をまとめます。

品階石(プムゲソク)

朝鮮王朝時代の官職は18の等級に分かれており、その等級が刻まれた石が王宮正殿前の石畳に順序よく並べられたものが「品階石」です。

国の重要な行事の際、すべての臣下が集まると、それぞれの等級に対応する品階石の横に整列しました。正殿に向かって右側に文官、左側に武官が配置されました。

丹青(ダンチョン)

丹青」とは、木造建築物に青、赤、黄、白、黒の5色を基調としてさまざまな模様を描いた装飾技法です。

丹青

丹青は建物を雨風や害虫から守る効果があり、王宮だけではなく、寺院でも用いられています。描かれる模様は建物によって異なり、火災や邪気を退ける象徴的な意味も込められています。

雑像(ジャプサン)

屋根にある装飾は、「雑像」と呼ばれる魔除けの装飾で、「三蔵法師一行と想像上の魔除けの動物」をモチーフにしているそうです。

雑像

この装飾は建物の格式をも示しており、その数が多いほど建物の地位や重要性が高いとされています。

ぜひ各王宮を訪れた際は、雑像を探してみてください。

昌慶宮(チャンギョングン)

それではここから私が訪れた順番に五大王宮をご紹介します。最初に訪れたのは、前回の記事でご紹介した宗廟から近い昌慶宮です。

昌慶宮の歴史

昌慶宮の歴史は、1418年に第4代王・世宗が退位した父・太宗のために建てた「寿康宮(スガングン)」にはじまります。1484年、第9代王・成宗によって祖母、生母、養母のために再建され、名前も「昌慶宮」と改められました。

1592年の壬辰倭乱で全てが焼失し、その後再建されましたが、度重なる火災に見舞われました。日本統治時代には動植物園が作られ「昌慶苑」に格下げされましたが、1983年の大規模な復元工事で、ようやく「昌慶宮」の名と姿が復元されました。

見どころ

弘化門

光化門

昌慶宮の正門「弘化門」。1484年に建てられましたが、壬辰倭乱で焼失し、1616年に再建されました。

明政殿

明政殿

昌慶宮の正殿「明政殿」は1483年に創建され、王の即位式や朝賀を受ける場として使用されました。壬辰倭乱で焼失しましたが、1616年に再建されました。

その後、昌慶宮は幾度も大火災に見舞われましたが、明政殿は火災を免れ、現存する朝鮮王宮の正殿の中で最も古い歴史を誇っています。

昌慶宮には他の宮廷にはない特徴があります。通常、宮廷の門や正殿は南向きに建てられるという原則がありますが、昌慶宮の正門「弘化門」と正殿「明政殿」は東を向いている唯一の宮廷です。これは、昌慶宮が主宮ではなく王妃の住まいであったためとも言われますが、風水地理説によると、地形や水の流れなどの自然エネルギーが運気に影響すると考えられ、南向きが不吉とされたためだという説が有力です。

インフォメーション

住所185 Changgyeonggung-ro, Jongno District, Seoul, 韓国
電話番号+8227624868
WEBサイトhttps://royal.khs.go.kr/JPN/contents/J103010000.do
営業時間9:00 - 21:00
*最終入場は観覧終了時間の1時間前
休業日月曜日
入場料大人(19〜64歳):1,000ウォン
*18歳以下、65歳以上は無料
見学所要時間1時間〜1時間30分

昌徳宮(チャンドックン)

次に訪れたのが、五大王宮の中で唯一世界遺産に登録されている昌徳宮です。

昌慶宮と昌徳宮はつながっており、直接行くことができます。ただし、チケットは別になっていますので、昌徳宮に行くためにはチケットを購入する必要があります。

昌徳宮の歴史

昌徳宮は、1405年に朝鮮時代第3代国王・太宗が景福宮の東に離宮として建てた王宮です。

昌徳宮の最大の特徴は、自然と調和した空間配置にあり、建物や庭園、樹木、小さな石に至るまで自然を活かした設計が施されているため、最も韓国的な宮殿と評価されています。

歴代の王もこの美しい景観を好み、景福宮より昌徳宮で過ごすことが多かったため、最も長く使用された王宮です。昌徳宮は五大王宮の中でも創建当時の様子が最も残されており、1997年にはその保存状態の良さからユネスコ世界遺産に登録されました。

見どころ

敦化門

敦化門

昌徳宮の正門である「敦化門」は、ソウルの王宮の正門で最大規模を誇り、現存する最古の正門です。1412年に建てられ、1609年に再建されました。

仁政殿

昌徳宮の正殿である「仁政殿」は、王の即位式や朝礼、外国使節の接見など、重要な国事が執り行われた場所です。

また、西洋の影響を受け1900年代に導入されたシャンデリアも見どころのひとつです。

インフォメーション

住所99 Yulgok-ro, Jongno District, Seoul, 韓国
電話番号+8227628261
WEBサイトhttps://royal.khs.go.kr/JPN/contents/J102010000.do
営業時間3~5月、9~10月=9:00 - 18:00
6~8月=9:00 - 18:30
11~2月=9:00 - 17:00
*最終入場は閉館時間の1時間前
休業日月曜日
入場料大人(19〜64歳):3,000ウォン
*18歳以下、65歳以上は無料
見学所要時間1時間

また、私は時間の関係で行けなかったのですが、昌徳宮には美しい庭園「秘苑(後苑)」があります。

秘苑への入場は別途料金が必要でガイドツアーでのみ観覧可能ですが、秘苑は韓国の伝統的な造園の特性と美しさを最も見事に具現した例として評価されていますので、時間のある方はぜひ訪れてください。

秘苑ガイドツアーの詳細・予約は下記のオフィシャルサイト(英語)でご確認ください。

景福宮(キョンボックン)

次に訪問したのは景福宮です。景福宮は、ソウルの五大王宮の中で最も大きく、最も重要な王宮です。

景福宮の歴史

朝鮮王朝は1392年に太祖・李成桂によって建国され、1395年に景福宮が政治の場として完成しました。

しかし、朝鮮王朝約500年の歴史の中で景福宮が使われたのはわずか約200年です。1592年の壬辰倭乱では、宣祖が北へ避難を決定し、民衆の怒りが爆発。景福宮は火を放たれ消失しました。

その後、景福宮は約270年間廃墟となり、政務は昌徳宮で行われましたが、1867年に高宗の時代に興宣大院君の指揮で再建されました。しかし、1895年に明成皇后が暗殺され、王が居所を移したことで景福宮は事実上使われなくなります。

日本統治時代には総督府庁舎が建てられ、多くの建物が破壊されましたが、1990年代から本格的に復元工事が進められ、往時の姿が再び蘇っています。

見どころ

光化門

光化門

景福宮の正門である「光化門」は、当初「四正門」として1395年に創建されましたが、1425年に「光化門」と改名されました。1592年の壬辰倭乱で焼失し、約270年後の1864年に再建されました。

しかし、日本統治時代の1927年に光化門は強制的に東側へ移転され、1950年の朝鮮戦争で再び焼失します。1968年に鉄筋コンクリートで復元されるという波乱に満ちた歴史を経ています。

元の位置に戻すため4年にわたる復元工事を経て、2010年に新たな姿で再生されました。

景福宮では休業日の火曜日を除く午前10時と午後2時に光化門周辺行われる守門将交代儀式を見学可能です。

勤政殿

勤政殿

景福宮の正殿で「勤政殿」は景福宮の中で最も雄大な建物で、王の即位式や外交官の接待など、国の公式行事に使用されました。

勤政殿

階段を上っていくと中央の玉座が見られます。その後ろの屏風に描かれた「日月五峰図(イロルオボンド)」は1万ウォン紙幣の絵柄として世宗の後ろに描かれています。

慶会楼

慶会楼

慶会楼」は、国の慶事や宴を催す際に使用された池に浮かぶ楼閣です。

当時から公式行事がある時以外は立ち入りが許されていませんでしたが、現在でも特別観覧の機会に限り見学が可能です。

インフォメーション

住所161 Sajik-ro, Jongno District, Seoul, 韓国
電話番号+82237003900
WEBサイトhttps://royal.khs.go.kr/JPN/contents/J101010000.do
営業時間3~5月、9~10月=9:00 - 18:00
6~8月=9:00 - 18:30
11~2月=9:00 - 17:00
*最終入場は閉館時間の1時間前
休業日火曜日
入場料大人(19〜64歳):3,000ウォン
*18歳以下、65歳以上は無料
見学所要時間1時間〜1時間30分

韓国の伝統衣チマチョゴリを着て観光すると、景福宮のほか、昌徳宮、慶熙宮、宗廟と朝鮮王墓の入場料が無料になります。無料になるガイドラインは、公式サイトを御覧ください。

慶熙宮(キョンヒグン)は

つづいて慶熙宮を訪れました。慶熙宮は五大王宮の中で最も西にあり、朝鮮王朝時代には「西殿」と呼ばれて離宮として使われました。

慶熙宮の歴史

慶熙宮は1623年に完成し、当初は「慶徳宮」と名付けられましたが、1760年に定遠君のおくり名と同じ発音であるため「慶熙宮」と改称されました。

第25代王・哲宗まで約280年間、離宮として使用されましたが、日本統治時代に多くの建物が破壊されました。1988年に復元事業が始まり、2002年に一般公開されました。

見どころ

興化門

興化門

慶熙宮の正門「興化門」。王宮の正門は2層になっているものが多いですが、離宮という性格上1層の造りになっています。

崇政殿

慶熙宮の正殿である「崇政殿」。階段に彫られた鳳凰やその横に描かれた雲の模様は、卓越した芸術性を持つものとして高く評価されています。

ソウルの五大王宮は四大王宮と呼ばれることがあります。その場合除外されるのが慶熙宮です。実際、王宮や王陵のオフィシャルサイトには慶熙宮は含まれていません。

インフォメーション

住所45 Saemunan-ro, Jongno District, Seoul, 韓国
電話番号+8227240274
営業時間9:00 - 18:00
休業日月曜日
入場料無料
見学所要時間30分

徳寿宮(トクスグン)

最後に訪れた徳寿宮は、ソウル市内中心部に位置する王宮で、特にその西洋風の建築・装飾が注目を集めています。

徳寿宮の歴史

徳寿宮は、もともと朝鮮時代の王族の邸宅でしたが、壬辰倭乱によって多くの宮殿が破壊された後、一時的に王の居所となり、宮殿としての役割を持つようになりました。

現在、徳寿宮には伝統的な韓国の建築様式だけでなく、西洋建築様式の建物も多く見られます。19世紀以降、西洋文明が朝鮮に流入すると、国力が衰え、王朝の象徴であった徳寿宮も破壊されました。朝鮮末期の苦難が深く刻まれた王宮と言えます。

見どころ

大漢門

大漢門

徳寿宮の正門はもともと仁化門でしたが、1900年代に「大漢門」周辺に道路が整備され、交通の便が良くなったことで次第に大漢門が正門として利用されるようになりました。

中和殿

正殿「中和殿」は昔のままの姿がよく保存されています。

内部の天井には2匹の龍が描かれていますが、この爪の数は7本となっています。龍の爪の数が7本は皇帝を象徴します。大部分龍は王を象徴する5本の爪で描かれています。

咸寧殿

咸寧殿」は王の寝室として使われました。西洋文明の影響を強く受けた内部装飾が目を引きます。

徳寿宮でも月曜日を除き11:00と14:00から行われている王宮守門将交代儀式を見学可能です。

インフォメーション

住所99 Sejong-daero, Jung District, Seoul, 韓国
電話番号+8227719951
WEBサイトhttps://royal.khs.go.kr/JPN/contents/J104010000.do
営業時間9:00 - 21:00
*最終入場は閉館時間の1時間前
休業日月曜日
入場料大人(19〜64歳):1,000ウォン
*18歳以下、65歳以上は無料
見学所要時間45分〜1時間

王宮のロケーションと評価

各王宮のロケーションをGoogleマップ上にプロットします。

各王宮間は徒歩でも15分〜20分ほどですので、歩いて回ることもできます。私は実際歩いて回りましたが、かなり疲れましのたで、所々公共交通機関を利用するのがおすすめです。

また、時間の関係で全部は回れないという方が大部分だと思いますので、私の各王宮に対する評価をまとめますので、参考にしていただければ幸いです。

順位王宮名コメント
1景福宮必見スポット。ソウルの王宮巡りでは絶対に外せない。
2昌徳宮世界遺産にも登録されている景福宮に次ぐ重要スポット。
3徳寿宮西洋風の建物・装飾もあり、他の王宮とは趣を異にする。
4昌慶宮昌徳宮に隣接しており、時間があればぜひ訪れたい。
5慶熙宮規模も小さく、王宮マニア向け。

各王宮の定休日は景福宮が火曜日、その他の王宮は月曜日となっています。

まとめ

ソウルの五大王宮は、それぞれに独自の歴史と魅力を持っています。昌慶宮、昌徳宮、景福宮、慶熙宮、徳寿宮を巡ることで、韓国の豊かな文化と歴史を深く理解することができます。

それぞれの宮殿が持つ歴史、特徴や美しさを堪能しながら、ソウルの王宮巡りを楽しんでください。

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