九龍寨城公園ガイド – 無法地帯の跡地に建てられた閑静な公園

九龍寨城公園 香港
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こんばんは。オヤジです。

2024年2月の香港旅行の際に、以前から行きたかった九龍寨城公園(Kowloon Walled City Park)に行ってきました。

この公園は、かつて存在した、無法地帯と言われ法と秩序の外で成長した特異なエリア九龍城砦の跡地に建てられています。

本記事では、九龍城砦の歴史、九龍寨城公園のロケーションと行き方、見どころについて詳しくご紹介します。

九龍城砦の歴史

九龍城砦は、19世紀初頭に中国の清朝によって建設されました。

当初は軍事要塞としての役割を果たしていましたが、1842年の南京条約によって香港がイギリスに割譲された後も、九龍城砦は飛び地として清朝の管理下に置かれ続けました。

九龍城砦は、中国大陸が中国国民党率いる中華民国となって以降も、事実上どこの国の法も及ばない「無法地帯」となり、犯罪組織や違法な商業活動が横行していました。

1949年の中華人民共和国の樹立により、中国大陸からの流民がなだれ込みバラックを建設、その後スラム街として肥大化していきます。

狭いエリアに無計画に増築された複雑な建築構造とどの国の主権も及ばずに半ば放置された環境から「東洋の魔窟」と呼ばれ、「アジアン・カオス」の象徴的存在となっていました。

1990年代初頭の人口は約5万人で、人口密度は約190万人/km2(畳1枚に3人)と世界で最も密集した地区でした。

しかし、1984年の英中共同声明により香港が1997年に中華人民共和国に返還されることが確定すると1987年には九龍城砦を取り壊し、公園として再開発する計画が発表されます。

1989 Kowloon Walled City
1989年の九龍城砦
By Ian Lambot - http://cityofdarkness.co.uk/order-print/01-aerial-view/Also found in the book City of Darkness: Life in Kowloon Walled City by Ian Lambot (ISBN 1-873200-13-7)., CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56276674

1993年から1994年にかけて取り壊し工事が行われ、1995年に九龍寨城公園が正式にオープンしました。

九龍寨城公園のロケーションと行き方

九龍寨城公園は、香港の九龍半島の東側に位置しています。公園は、九龍城地区の東側、東頭村道(Tung Tsing Road)沿いにあります。

住所Tung Tsing Road, Kowloon City, Kowloon
電話番号+85227169962
WEBサイトhttps://www.lcsd.gov.hk/
営業時間6:30〜23:00
展示室10:00〜18:00
休業日なし(展示室は水曜日)
入場料無料

最寄りのMTR(香港の地下鉄)駅は、観塘線の樂富駅(Lok Fu Station)と屯馬線の宋皇台駅(Sung Wong Toi Station)です。

私は樂富駅を利用しました。

樂富駅では出口Bから地上に出ます。

駅から少し距離はありますが、聯合道(Junction Road)沿いに進むだけですので迷うことはないと思います。15分ほど歩くと左手に九龍寨城公園が見えてきます。

また、公園の前にはバス停もありますのでバスを利用することもできます。

私たちも帰りはバスを利用し旺角(Mong Kok)まで行きました。香港のバスは路線も多く複雑でタイミングにより最適ルートも変わってきますので、都度Googleマップで目的地を入力し最適なルートを調べることをおすすめします。

九龍寨城公園の見どころ

九龍寨城公園は今では閑静な公園になっていますが、ところどころかつての九龍城砦の歴史を感じることができるスポットがあります。以下に主要なスポットをご紹介します。

①南門懐古(The Old South Gate)

南門は、九龍城の主要な入り口として機能していました。

門の東側に1843年に清政府によって九龍寨城が建設された当時の門の跡が「南門懐古」として残されています。

九龍寨城公園

南門懐古の近くには九龍城砦の模型があります。この公園内にこれほどの数の建物があったことが信じられません。

②衙府(Yamen)

衙府(がふ)は、唯一残っている当時の建築物です。入口の左右には当時の大砲が配置されています。

衙府は九龍城砦の行政機関が置かれていた場所です。ファサードは清朝時代に作られたオリジナルの外観を模して復元されています。

中には公園を管理する事務所があります。また、取り壊される前の九龍城砦の写真などが展示されているほか、家具なども再現されています。

③邀山樓(Mountain View Pavilion)

2階建ての邀山樓(ようさんろう)は、停泊中の遊覧船を彷彿とさせ、反り返った屋根の角が船首を思わせます。

九龍寨城公園

少し離れて見ると、前に積み上げられた石灰岩が高波のように見えます。

九龍寨城公園人力車

邀山樓には光沢のある赤い人力車が展示されています。人力車はかつて香港で一般的な光景でした。1940年代後半でもまだ数千台が使用されていたそうです。

④童樂園(Garden of chinese Zodiac)

邀山樓のすぐ向かいには童樂園があります。

九龍寨城公園 童樂園

ここには滑らかな白い石で作られた干支の彫刻があり天干地支に従って配置されています。

干支の彫刻は漢朝や清朝の様式で作られ、高い木々の間に配置されています。

⑤九龍城歴史圖片廊(Photo Gallery)

九龍城歴史圖片廊には、九龍城砦の歴史を紹介する写真が展示されています。

写真を通じて、当時の九龍城砦の様子を知ることができ、九龍城砦の歴史を深く理解する事ができます。

公園マップ

九龍寨城公園のマップです。番号は上で紹介したスポットの番号と連動しています。

九龍寨城公園のデザインは、清朝初期の江南庭園スタイルに基づいており、ご紹介したスポット以外にも多くの見どころがあります。

何より散策しているだけでも非常に気持ち良くリフレッシュできます。

まとめ

九龍寨城公園は、かつて世界で最も人口密度が高く、無法地帯として知られていた九龍城砦の跡地に作られた公園です。現在は、静かで美しい庭園が広がり、香港の歴史を物語る史跡が残る憩いの場となっています。

ガイドブック等ではあまり紹介されることがありませんが、香港の歴史や文化を理解するうえで非常に貴重なスポットです。

香港を訪れる際には、ぜひ九龍寨城公園に足を運んでみてください。

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